08/7/18




 14日、町役場で「八丈町ゴミ処理問題協議会」が開かれ、町から、管理型最終処分場の残土置き場(約5000平方メートル)を作らないことにする縮小計画が示された。事業を行う東京都島嶼町村一部事務組合(=一組)が、町に明らかにしたもの。この説明を受けた協議会の委員からは、「水海山は選定ミス」との意見が聞かれた。現在、一組が行っている地下水調査が水道水源への影響をどこまで示す内容になるか。9月に調査結果を説明するという。
 縮小計画によると、処分場の埋め立て容積(4万9500立方メートル)は変わらないが、樹木の伐採量を少なくし、残土を少なくする工法に変えるという。施設の配置を変える検討もしているという。このため施工面積は3分の2に縮小される。この見直しに関する説明は、9月上旬以降に一組が行う。
 また、2年前(平成18年9月)に廃棄物処理法が改正され、廃棄物処理施設に係る生活環境影響調査項目(大気質、騒音、振動、悪臭、水質)の5項目に、「地下水への影響」が新たに追加されたとして、現在3本の観測井で地下水調査を行っている。降った雨が井戸に及ぼす影響を調べ、水位データを解析することで地下水の流れがわかってくる、としている。
 町の山越整住民課長は「水は谷間の地形に沿って流れていることが確認されている。予定地に降った雨が反対側にある大川水源や末吉の水壺水源へ流れることも、今のところ考えにくい。この地下水調査は8月中旬にはまとまる予定」と説明した。
 このあと、数人の委員が「水海山は選定ミス」との考えを示し、次のような意見を述べた。
 「地球環境はこれからどうなるかみえない。島でも長期間雨が降らなければ、平地の水源(井戸)は渇水もあり得る。東山の谷を失うことで、将来『早まった』ということにならないよう、100年先をみて水脈の調査は必要。なんであんな山の上に有害物質を埋めるのか、20年、40年と管理は行き届くのか、まして燃料費が高騰している時代。近場に作った方がいいのでは。1、2年棒に振っても、再検討を」。
 「伊豆諸島で水が豊富な島は八丈と御蔵。水の海の山という名がつく所にわざわざ処分場を作るのは、選定ミスではないのか。どこかに作らなければならないので反対はしないが、あわてて作らずに、十分な調査をして間違いなく大丈夫だとの結果が得られれば納得できる。いま焼いている場所(中之郷埋立処分場)の方がよっぽどいい」。
 これに対し、沖山慶孝副町長は「全部の地下水の調査をするとなれば、莫大な費用がかかる。候補地は中之郷がダメになり、6カ所の中から議会での議論を経て決まった場所。沢地になったのは建設コストも関係している。法律に基づいてやっているが、今の調査で弊害があれば、やめることになる。町長としては、一組に対して住民が納得するまで説明するよう求めている」と述べた。
 他には「住民に処分場の必要性を知らせてほしい」「客観的な調査が行われるよう望む」などの発言もあった。写真は予定地の水海山を視察する協議会委員。
 
 (解説)一組が現在行っている地下水調査は、処分場予定地内に3本の観測井を掘り、地下水の水質、水量、水流を検証する。ボーリングの深度は、浅いのは3.8メートル、深いのは13.5メートル。ただし、水道水源への影響を探る水脈の調査ではなく、ボーリングは処分場内の水の流れに限定されている。
 専門家の指摘を受けて最近、クローズアップされているのが都の環境影響評価条例に基づく「環境影響評価(環境アセスメント)」だ。最終処分場にこの条例が適用されれば、事業者には計画段階で水道水源を含む環境への影響評価が義務付けられ、「環境配慮書」や「評価書案」を公示。都民に説明会も開催しなければならない。都民は意見書を提出することができ、「都民の意見を聴く会」には環境影響評価審議会委員が参加する。八丈島では廃棄物処理法に基づく生活環境影響調査が行われているが、環境アセスとは手続きにも大きな違いがある。なぜ、環境アセスの対象にならないかといえば、八丈島の処分場の埋立容積が500立方メートル少ない4万9500立方メートルだからだ。
 環境アセスの対象にならない場合に、市町村が水道水源を守る手段として、▼水源保護地域の指定▼保護地域内で事業を行う者との協議、説明会の義務化▼協議結果の通知、水源汚濁のおそれのある場合は設置の禁止−−を定めた「水道水源保護条例」で対応するケースが増えているという。
 まだ動力船のない江戸時代、天水に頼る八丈小島で干ばつに見舞われたとき、八丈島から水が運ばれた記録がある。現代では青ヶ島に運ばれたこともある。命と直結する公共財としての水は、水に困る地域への助けにもなる。水源の保護は緊急の課題だ。