
| 長さ5.5メートル、幅59センチのシーカヤックで28日早朝、沖縄県石垣市、八幡暁さん(33)=東京都出身=が神奈川県の鎌倉へ向けて永郷ナズマド海岸を出発した。黒潮の影響を受ける八丈島・三宅島間は潮流が速く、これまでにシーカヤックでの航海例がないルートだが、八幡さんは最初の寄港地・御蔵島までの約80キロを、動力を使わず2本の腕で漕ぎ渡る。 八幡さんが海に目覚めたのは、大学時代。乙千代ヶ浜で笹本訓司さんと出会い、島の素潜り名人たちから素潜り漁を教えてもらったのがきっかけだった。以来、モリと足ひれを持って世界の海を回るようになり、そのうちにシンプルな旅の道具・シーカヤックが加わった。いまはその指導員として石垣島でショップ「ちゅらねしあ」を経営するかたわら、オーストラリアから日本までの総距離8000〜9000キロをシーカヤックで漕ぎきる計画を02年から実行中だ。「このアジア回りは世界で一番島が多く、世界のカヤッカーが航海していないルート」という。これまでにオーストラリアとニューギニアの半分を縦断。昨年は、フィリピンと台湾の間にあるバシー海峡の横断に成功している。 「シーカヤックはサーフィンと同じで、大きな波を受け流したり、乗っかったりする技術がなければ、波に転がされてしまう。海で気象現象を予測し、起こってしまうリスクを回避するのも楽しみのうち。だから航海は単独無伴走」という。 命に関わるリスクは過去に数回あった。初心者の頃、穴が開いていたカヤックを借り、外洋で浸水して沈んだ。その時は10時間泳いで助かった。 カヤッカー未踏の伊豆諸島縦断。八幡さんは「御蔵島まで20時間かかるとみています。漕行不能なら戻ってきます」と午前4時、笹本さんらが見送る中、元気に出発していった。 |