07/3/2




 八丈太鼓の菊池隆さん(54)の太鼓歴40周年記念コンサートが24日、日本を代表する太鼓奏者をゲストに迎え、三根小体育館で開催された。 

 「八丈太鼓の会」(隆さん、卓さん親子)が華麗なバチさばきを見せたあとは、「鼓童」の藤本吉利さんとソリストの今福優さんが直径約1.1メートルの大太鼓で、荘厳ながら繊細なタッチの響きを創出。「鼓童」の藤本容子さんが透明感のある歌声で神秘的な世界へと誘った。鍛え抜いた体で多彩なリズムと音色を演出した「炎太鼓」の3人(地下朱美さん、木下千恵子さん、山田瑞恵さん)のダイナミックなパフォーマンスは壮観=写真。和太鼓の第一人者の打法は、集まった約500人の聴衆を魅了した。フィナーレは、八丈島太鼓バンドの演奏のあと、出演者全員が加わってのセッションとなり会場は熱気と興奮に包まれた。コンサートは関係者のボランティアで行われ、入場無料。ゲストは交通費、宿泊費とも自前だった。大太鼓の輸送費には往復で約17万円かかったという。隆さんは「友人たちが手伝ってくれてできたコンサート、感謝の気持ちでいっぱいです」と話している。

 世界で活躍する太鼓奏者、林英哲さん(55)はコンサート翌日の25日、最終便で来島。かつて鬼太鼓座で生活を共にした隆さんをはじめ、藤本吉利さん・容子さん夫妻、今福優さんと再会した。英哲さんは「やわらかい身のこなしで自由に打つ八丈太鼓を体験してもらう」ため、翌日は『英哲風雲の会』の若手太鼓奏者2人を伴い、太鼓の練習場を訪れた。「太鼓に型があり、譜面に合わせて揃い打ちすることは即興で打つよりも簡単なこと。若い人たちに教えていて、『即興で打つように』と言うと、いきなりトーンダウンする。八丈太鼓はひとりで手を決め、好きに打つが、即興的に打つことは一番難しい。それに八丈太鼓は大きくない。純粋な意味の打ち手の腕は大太鼓に頼らず、小さい太鼓を打つときにわかるものです」。英哲さんから八丈太鼓論を聞くことができた。「八丈太鼓の本場なのだから、八丈太鼓を習うことができる太鼓センターがあるといいですね。行けばいつでも体験ができて、コンサートを見たり、合宿もできる。そんな文化交流施設が福井県の越前町にあるんですよ」とも語った。合併前の織田町が建設した施設で、ここでは毎年大きな太鼓の祭典が開かれている。





 第4回八高演奏会が24日、八高視聴覚ホールで開催され、午後と夜の2回公演に700人を超える観客が来場した。都立小山台高校吹奏楽部をはじめ、八高生の指導にもあたってきた大津立史さん(アルトサックス)、大森啓史さん(ホルン)、松下倫士さん(ピアノ)、相馬孝洋さん(ピアノ・指揮)の4人の演奏家や音楽家が特別出演した。
 小山台高から参加した生徒やOBは約20人以上。夜の部では、「八丈島で演奏しなければ本物じゃない」との希望で、当日の授業を終えて最終便で来島した8人編成のアンサンブルが、2月の都大会で金賞に輝いた曲「野兎の憂鬱」を演奏した。8人は3月21日、横浜みなとみらいホールでの「全日本アンサンブルコンテスト全国大会」に出場する。
 この曲は昨年の夏休みに八高吹奏楽部を指導した作曲家の相馬さんが、八高生と過ごした日々をモチーフにした作品。相馬さんは「音楽の指導ひとつでも、小山台の子はまじめに聞いて頭の中で考えるが、八高生は直感、感性の部分で反応し、予想もつかない答えを返してきたり、行動に出たりする。とにかく感情表現が豊かで、それが演奏にも現れる」と、八高生たちの鮮烈な印象を語る。もう1曲が今回の演奏会のために書き下ろされた「夜明け待ち」。黄昏から夜明けへと移りゆく時間の流れや光の変化を、壮大なスケールで表現している。楽譜が完成したのが5日前。「楽譜から曲のイメージをつかむのが難しい高校生のレベルで、八高生のその能力の高さは異常なほど」と鈴木孝助教諭も驚く吸収力で仕上げた。演奏会では相馬さん自らがタクトを振る演出も。
 2曲とも八丈島では初演となったが、観衆は、完成度の高い両校のコラボレーションの結実を堪能することができた。八高生の演奏について他のゲストも「技術的に優れたブラスはいっぱいあるが、自分の感情を音楽で表現できるブラスは稀」(大森さん)、「音楽をやらされていない。島のリズムが音楽に近い」(大津さん)、「限られた人数なのに、それ以上の迫力、メッセージがある」(松下さん)などの感想を語った。