06/5/26

 来春の開校に向け三原小学校の建設が着々と進んでいるが、これに伴い廃校になる樫立・中之郷両小学校の跡地をどのように活用するかが、新たな課題となっている。町教育委員会では15日に定例会を開き、両校の再利用計画について、体育館は社会教育の場や万一の際の防災拠点として使用し、老朽化した校舎は取り壊す方向で意見をとりまとめた。地域の人たちにとって思い出がつまった小学校は、心の面からも「大きな」施設。廃校後の新たな活用法を考えることは、過疎化が進む両地域の未来を切り拓く上でも意味のある課題だ。
 いま全国で、少子高齢化などに伴う児童生徒数の減少により廃校が急増している。その数はここ10年ほどで2000校を超え、約8割の施設が再利用されているともいわれる。
 笹本訓司樫立自治会長は「体育館、校庭、プールの3施設だけでは地域活性化は困難。補強工事により校舎が残せるならば、宿泊施設などに利用することで他の施設も活きる。雇用や地域の過疎化対策にもつながると思う。地域住民有志で『八丈町旧樫立小学校跡地管理組合』を立ち上げて考えていきたい」と積極的な利用を提唱する。
 また、中之郷地域では6月に各地区で集会を開き、中小の跡地利用について話し合う。菊池央亘自治会長は「まず地域で話し合い、町ともじっくり話し合って進めていきたい」と話している。 
 石川県能登町では、02年に廃校となった小学校を約5000万円(農林水産省・やすらぎ空間整備事業、50%補助)で改修。客室10室を整備し、グリーンツーリズムの拠点として今年のゴールデンウイークに開業した。同町農林課では「県外から廃校ファンが集まり、連休は盛況だった。夏場にかけて学生のサークルにも声をかけていきたい」と意欲を見せる。
 富山県利賀村では98年、廃校となった校舎を活用して農山村滞在型の交流施設を開設。同地区は清流がそそぐ山間の村で、そば打ちやイワナつかみ取り、カヌー教室、冬には雪像つくりやスキーが楽しめる。年間宿泊客は2000人を数えるが、安定経営にはさらに500人ほどの利用客が必要という。
 また、世田谷区では民間会社が5年間の定期賃貸借契約で廃校となった中学校校舎を区から借り受け、「ものづくり」「デザイン」をコンセプトに、建築や家具、映像などの制作者の拠点として04年にオープンした。ギャラリーや試写室、工房、カフェを設けて地域と連携するほか、スモールオフィスやワーキングスペースとして活用。民間主体の利用例としては都内初のケースとなっている。3月にまとめられた「八丈島観光産業活性化戦略」の報告書にも再利用計画が示されているが、これまで話題になっている観光体験メニューの充実や雨天時に対応できる観光施設をはじめ、坂上各地域の過疎化対策など、樫小、中小の再利用は、町が抱える多くの課題の解決策となる可能性を含んでいる。(写真上は樫立小学校、下は中之郷小学校)